
最近ある動画を見て、多くのインディー開発者が直面する問題を的確に突いていると感じた。普通に面白いゲームを作るよりも、「全く新しい独自のゲームプレイ」を持つゲームを設計し、それを市場での差別化に活かしたいと考えがちだ。この発想自体は間違いではないが、それを優先しすぎると本末転倒になってしまう。
「プラットフォーマーを作りたい、でもそれには…」
動画の作者Jonas Tyrollerはインディーゲーム『Thronefall』の開発者の一人だ。彼は動画の中で、多くのインディー開発者がゲームを作る際に独自の「コアメカニクスのフック」(動画ではHookと呼んでいる)を見つけることに執着しがちだと指摘する。例えば「これはプラットフォーマーだけど、重力を反転できる!」というような発想だ。彼は自身の成功体験をもとに率直に述べる——Steamでヒットするために独自のメカニクスは必ずしも必要ない、と。
「プレイヤーはメカニクスではなく、体験を求めている」
プレイヤーはメカニクス自体にはさほど関心がない。最近話題の麻薬ディーラーゲーム『Schedule I』を例に挙げると、「クリックして水やりをする」という地味なメカニクスよりも、プレイヤーが惹かれるのはそのメカニクスが持つ文脈(context)と完全な体験(experience)だ。
「独自のコアメカニクスはあくまでボーナス」
もちろん独自のコアメカニクスは素晴らしい。『Portal』は唯一無二のゲームプレイを持つ最高の例だ。しかし実際のところ、ポータルガンという核心要素を取り除いたとしても、謎解きの過程でもたらされる独自の体験はそれ自体で十分に深く、ゲームの魅力は損なわれない。コアメカニクスはゲームをさらに際立たせるための役割を担っているのだ。
「成功するゲームは体験から定義すべき」
作者は『Thronefall』の開発経験を語る。「城を建てて守り抜く」という明確なビジョンとファンタジーが定まったとき、開発は格段にスムーズに進んだ。この体験を核心に据えたアプローチにより、『Thronefall』は最終的に100万本以上の販売を達成した。
「コアメカニクスがない場合、どうやって目立てばいい?」
動画では、単一のメカニクスフックに頼らずに魅力を打ち出すための代替案を複数紹介している:
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メカニクスフックをボーナスとして使う:『Portal』のように、コアのポータルメカニクスを取り除いても魅力的なゲームであること。
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実証済みの公式を参考にする:成熟した基盤の上でブラッシュアップする。例えば『Mega Bonk』は『Risk of Rain』と『Vampire Survivors』の要素をうまく組み合わせた。
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市場の空白を埋める:まだ飽和していないニッチな市場を見つける(例:『Islanders』の超シンプルな都市建設というポジション)。
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ファンタジーから始める:現実でも魅力的な体験を選ぶ(例:『Superflight』はウィングスーツ飛行というコアファンタジーに特化)。
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人気メディア作品を転換する:人気ドラマや映画のバイブを巧みにゲーム化する(例:『Schedule I』は『ブレイキング・バッド』の雰囲気を借りた)。
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魅力を先に設計する:バズるトレーラーを先に作る(例:『Choo-Choo Charles』のトレーラー戦略)。
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技術的優位性を活かす:独自の技術力が競合を減らし新たな魅力を生む(例:『Noita』はゲーム内のすべてのピクセルをシミュレートしている)。
動画の結論:
ゲーム開発の焦点は「プラットフォーマーを作りたい、でも〔ここに独自メカニクスを入れる〕」であるべきではない。大切なのは、プレイする前から「やってみたい」という強い衝動を呼び起こす、魅力溢れる体験をどう設計し実現するかだ。
この動画の内容はインディー開発者向けのアドバイスだが、大規模開発にも同様に当てはまると私は思う。かつてはゲームプレイ至上主義だった私が、「開発においてゲームプレイをそれほど重視しなくていい」という大胆な主張を聞いて、よく考えてみると同意せざるを得なかった。本当に良いゲームとは、独自のメカニクスを持つことではなく、プレイヤーの体験に真剣に向き合った一つの完成された作品だからだ。開発の過程で迷子になって、本当に大切なものを忘れないようにしたい。